2016年07月16日
アンバサダー任命式??
7月11日 朝
ピロロロロロ~(電話の音)
シゲル:はい、おはよー、みずえさん。
みずえ:おはようございます。シゲルさん。いよいよ今日ですね!!
シゲル:なんやったかにゃ?
市役所勤めば辞めてから、日曜じゃい月曜じゃい、よーわからんごとなった。
みずえ:何言ってんのよ、今日は月曜日、へ、い、じ、つ!! もう!!
シゲル:月曜ねー、朝っぱらからそがん、からマンデー、ってね。
みずえ:はいはい。ダジャレはいつも絶好調ですね。約束の時間、忘れないでくださいね。
シゲル:はーい、デートじゃったねー。
みずえ:ちがーう!
酒造組合で会いましょう!!
こうして、シゲルとみずえの朝は始まった。
7月11日は、二人にとっては大切な日だった。佐賀県酒造組合から拝命した「佐賀酒アンバサダー」の任命式が行われる日である。
夏になり、Tシャツ、短パン姿で徘徊、もとい、出回る機会が増えていたシゲルも、この日ばかりは、バリッとした麻のジャケットを羽織り、勝負メガネをかけて酒造組合へと向かった。かくいうみずえも、少しでも女性らしく見える格好をと、白のレースシャツなんぞを纏い、黒いスカートを着て、最後に「ムムッ」と腹部に力を入れ、少しでも華奢に見えるようにして、人から見たら無意味に見える努力をしたつもりで酒造組合に出かけた。
先に着いたのはみずえだった。
みずえ:こんにちはー。
古賀会長(以下会長):おー、頼んどくけんねー、庄島さん!
みずえ:(わっ、シゲルさんかと思った―。ほんなこて二人は似てあるけん)。は、はい。より一層酒活に勤しみます!!
そうこうしているうちにシゲルさん登場。
会長:おりょ、ジャケットのかぶったね(笑)
シゲル:やっぱり、こういう時はジャケットを着用かと思って着てきましたが、まさか色までかぶるとは。

※任命式で椅子に座る会長とシゲル
みずえ:よく似てるわー、やっぱり。
会長:もう一人きんさっとよ。大阪の女性で、よかー人に声ばかけたとよ。
早めに到着したおかげで、任命式の前の何でもトークが長くなってしまったが、かくして、3人が揃い、アンバサダー任命式が行われたのであった。
その3人のアンバサダーについて、ぎょうぎょうしゅう発表されたリリース資料から紹介することにしよう。

平尾 茂(ひらお しげる)
元市職員であり、現在は温泉とお酒の文化研究家として活躍。温泉やお酒、観光魅力、まちづくりなどに関する講演・執筆、メディアなどにも出演している。代表的な著書として、「佐賀酒ものがたり(2014 西日本新聞社)」、「月の兎と行く九州100温泉(2010 海鳥社)」など。
また、自身のFacebookでは佐賀酒や温泉に関する情報を日々発信している。

庄島 瑞恵(しょうじま みずえ)
㈱西日本情報センターに入社し、「佐賀をもっと楽しく、面白く」をコンセプトに地域情報を発信。同社が発刊していたタウン誌「月刊タウン情報さが」では、編集業務をメインに行い、編集長を8年間歴任した。フリーに転身後は、ライター、エディター、広報業務を行っており、「さがの酒蔵BOOK(佐賀県酒造組合発刊)」や有田焼創業400年を記念した酒器プロジェクト「ARITA 地の盃」の開発サポートメンバーとして、ブックレットやWEBなどの商品紹介に携わった。

中本 千尋(なかもと ちひろ)
フレンチレストラン勤務、短大の調理師学科アシスタント講師などを経て独立。現在は、食から日々の暮らしまわりを提案する『DISHes』の主催者であり、フードデザイナー。また、女性ファッション雑誌「CLASSY」の専属読者モデルも務める。
Instagramに投稿される華やかな料理やテーブルコーディネート写真は、食のトレンドを生み出すデリスタグラマーの中でもファンが多く、フォロワー数も20,000人を超える。
任命式では、数社のマスコミが取材に来ており、アンバサダー3人はそれぞれに質問を受け、抱負を語っていた。





シゲル:終わったね、おつかれさま。
みずえ:おつかれさまでしたー。
シゲル:大阪から来んさった中本さん、かわいかねー(ニタニタ)
みずえ:あら、さっきは「両手に花で写真撮れてよかったー」とか言ってたのに、咲き誇る花(千尋さん)と枯れかけた花(みずえ)で悪かったね!!(怒)
シゲル:だいもそがんこと言いよらん。
貴女がおらんと、佐賀弁でしゃべられんたいねー。
みずえ:そこですか!
シゲル:まあ、おさえて、おさえて。こんな時には、軽―い口当たりの夏酒なんかいかが?
みずえ:お酒を飲ませたらよか気分になると思って…。 まあ、そのとおりなんだけど、フフ。じゃあ、懇親会会場へ行きましょ、シゲルさん。
シゲル:なんで行くね?タクシーね、テクシーね?
みずえ:でたー、ジェネレーションギャップ‼ テクシーはやめときます。タクシーで行きましょう。
シゲル: (懇親会では千尋ちゃんの隣りに座れるかな?) ヘイ、タクシー!!!
(一同):絶句…
懇親会で佐賀の酒と美味しい料理を堪能した2人は、また、佐賀の夜の街の灯りに誘われて、光の中に溶けていった。
シゲルとみずえ。親子ほど年の離れた二人。
ジェネレーションギャップは埋まることはないが、『酒縁』は年齢も立場も超えるミラクルな縁。シゲルとみずえの佐賀酒探訪記を楽しみに読んでくださる方々のために酒場を渡り歩く2人は、使命感ならぬ「酒命感」がみなぎっていた。

(執筆:みずえ)
ピロロロロロ~(電話の音)
シゲル:はい、おはよー、みずえさん。
みずえ:おはようございます。シゲルさん。いよいよ今日ですね!!
シゲル:なんやったかにゃ?

みずえ:何言ってんのよ、今日は月曜日、へ、い、じ、つ!! もう!!

シゲル:月曜ねー、朝っぱらからそがん、からマンデー、ってね。

みずえ:はいはい。ダジャレはいつも絶好調ですね。約束の時間、忘れないでくださいね。
シゲル:はーい、デートじゃったねー。

みずえ:ちがーう!

こうして、シゲルとみずえの朝は始まった。
7月11日は、二人にとっては大切な日だった。佐賀県酒造組合から拝命した「佐賀酒アンバサダー」の任命式が行われる日である。
夏になり、Tシャツ、短パン姿で徘徊、もとい、出回る機会が増えていたシゲルも、この日ばかりは、バリッとした麻のジャケットを羽織り、勝負メガネをかけて酒造組合へと向かった。かくいうみずえも、少しでも女性らしく見える格好をと、白のレースシャツなんぞを纏い、黒いスカートを着て、最後に「ムムッ」と腹部に力を入れ、少しでも華奢に見えるようにして、人から見たら無意味に見える努力をしたつもりで酒造組合に出かけた。
先に着いたのはみずえだった。
みずえ:こんにちはー。
古賀会長(以下会長):おー、頼んどくけんねー、庄島さん!
みずえ:(わっ、シゲルさんかと思った―。ほんなこて二人は似てあるけん)。は、はい。より一層酒活に勤しみます!!
そうこうしているうちにシゲルさん登場。
会長:おりょ、ジャケットのかぶったね(笑)
シゲル:やっぱり、こういう時はジャケットを着用かと思って着てきましたが、まさか色までかぶるとは。

※任命式で椅子に座る会長とシゲル
みずえ:よく似てるわー、やっぱり。

会長:もう一人きんさっとよ。大阪の女性で、よかー人に声ばかけたとよ。
早めに到着したおかげで、任命式の前の何でもトークが長くなってしまったが、かくして、3人が揃い、アンバサダー任命式が行われたのであった。
その3人のアンバサダーについて、ぎょうぎょうしゅう発表されたリリース資料から紹介することにしよう。

平尾 茂(ひらお しげる)
元市職員であり、現在は温泉とお酒の文化研究家として活躍。温泉やお酒、観光魅力、まちづくりなどに関する講演・執筆、メディアなどにも出演している。代表的な著書として、「佐賀酒ものがたり(2014 西日本新聞社)」、「月の兎と行く九州100温泉(2010 海鳥社)」など。
また、自身のFacebookでは佐賀酒や温泉に関する情報を日々発信している。

庄島 瑞恵(しょうじま みずえ)
㈱西日本情報センターに入社し、「佐賀をもっと楽しく、面白く」をコンセプトに地域情報を発信。同社が発刊していたタウン誌「月刊タウン情報さが」では、編集業務をメインに行い、編集長を8年間歴任した。フリーに転身後は、ライター、エディター、広報業務を行っており、「さがの酒蔵BOOK(佐賀県酒造組合発刊)」や有田焼創業400年を記念した酒器プロジェクト「ARITA 地の盃」の開発サポートメンバーとして、ブックレットやWEBなどの商品紹介に携わった。
中本 千尋(なかもと ちひろ)
フレンチレストラン勤務、短大の調理師学科アシスタント講師などを経て独立。現在は、食から日々の暮らしまわりを提案する『DISHes』の主催者であり、フードデザイナー。また、女性ファッション雑誌「CLASSY」の専属読者モデルも務める。
Instagramに投稿される華やかな料理やテーブルコーディネート写真は、食のトレンドを生み出すデリスタグラマーの中でもファンが多く、フォロワー数も20,000人を超える。
任命式では、数社のマスコミが取材に来ており、アンバサダー3人はそれぞれに質問を受け、抱負を語っていた。





シゲル:終わったね、おつかれさま。

みずえ:おつかれさまでしたー。

シゲル:大阪から来んさった中本さん、かわいかねー(ニタニタ)

みずえ:あら、さっきは「両手に花で写真撮れてよかったー」とか言ってたのに、咲き誇る花(千尋さん)と枯れかけた花(みずえ)で悪かったね!!(怒)

シゲル:だいもそがんこと言いよらん。

みずえ:そこですか!

シゲル:まあ、おさえて、おさえて。こんな時には、軽―い口当たりの夏酒なんかいかが?
みずえ:お酒を飲ませたらよか気分になると思って…。 まあ、そのとおりなんだけど、フフ。じゃあ、懇親会会場へ行きましょ、シゲルさん。

シゲル:なんで行くね?タクシーね、テクシーね?

みずえ:でたー、ジェネレーションギャップ‼ テクシーはやめときます。タクシーで行きましょう。

シゲル: (懇親会では千尋ちゃんの隣りに座れるかな?) ヘイ、タクシー!!!
(一同):絶句…

懇親会で佐賀の酒と美味しい料理を堪能した2人は、また、佐賀の夜の街の灯りに誘われて、光の中に溶けていった。
シゲルとみずえ。親子ほど年の離れた二人。
ジェネレーションギャップは埋まることはないが、『酒縁』は年齢も立場も超えるミラクルな縁。シゲルとみずえの佐賀酒探訪記を楽しみに読んでくださる方々のために酒場を渡り歩く2人は、使命感ならぬ「酒命感」がみなぎっていた。

(執筆:みずえ)
2016年07月11日
第一回、佐賀市白山・「のこ さがん酒処」編
〔佐賀はよいとこ城下町〕

シゲル:今日はどこへ行こうか?
みずえ: のこ に行きましょう。
シゲル:よかね。美人ママのところね。
みずえ:佐賀駅からだと南へ(佐賀では方向を東西南北で言う)どんどんどん(佐賀弁の擬音の三拍子)と県庁に向いて土橋(どばし)まで行って、西へ曲がったらすぐ。
シゲル:雨も降ってきたし。バスで行こうか。
みずえ:そいぎバスに乗って行こうか。ありゃ、市営バスに佐賀ん酒の描いてあっよ。よかね?
こいに乗って行きましょう。

二人は のこ 目指してバスセンターから佐賀酒ラッピングバスに乗り白山へ。
ここは江戸時代、長崎と小倉を結ぶ長崎街道が通っていた所で佐賀城下町の札の辻が立てられていた交通の要所で、今でも多くの飲食店が立ち並び夜も賑わう。のこ に行く前に長崎街道をぶーらぶら歴史散策。丸ボーロ屋さんの甘い香りが鼻をくすぐる。カレー屋さんのいい匂いも。近所にある高寺や竜造寺八幡宮でお参り。いったい何をお願いしたのやら。
もちろんアンバサダー丸の航行安全をネ。
佐賀城下町の北を東西に流れる十間堀川は、その昔、川幅が十間あってお城の外堀の役目もしていた。川には船が行き交い、ここから有明海に出て日本中や外国ともつながっていた。白山は長崎街道も通り船運もよく佐賀随一の繁華街として繁栄していたそうだ。昭和の流行歌「佐賀はよいとこ」にも、佐賀県内の一番の名所として
♪~ 楠の青葉もそよそよと、えー暮れりゃ白山人通り、~♩
~ 灯る鈴蘭花の町、ホントニ、ヨカナイ、ヨカトコロ ~♫
と歌われたほど賑やかだったとか。今でも鈴蘭通り、鈴蘭橋がある。のこ は十間堀川と長崎街道のそば、八幡宮のすぐ前にぽつんと灯りをともしている。

〔いよいよ、のこ に〕
みずえ:なるほど、街歩きもしたし、歴史の勉強でちょっと疲れたけん、ぼちぼち のこ に行きましょ。
シゲル:そんないのこのこついて行くけん、、、、
佐賀駅から唐人町を通り十間堀川を渡って白山に行く橋は通称「土橋(どばし)」というが、現在では土橋という橋はなく、中央橋、広栄橋、そして御幸橋となんと3つの橋に分かれる。のこ は御幸橋を渡ったすぐのところにある。以前は「大ばかもり食堂」という人気の食堂があり、「働かざる者食うべからず」と書いてあったという。のこ にも「働かざる者飲むべからず」などと貼り紙があるのでは。
まさか、、、
。
みずえ:ほら、もうそこにのこの提灯の見えよっよ。雨のザーザーザー降ってきたやんね。早う、入ろう。お酒とあったかいおでんの待っとおよ。
シゲル:この〇い提灯の下に△と□を合わせた木の説明板はおでんのこんにゃくや豆腐に似とおね。説明版に、「雨の日は客が少ないから沈む」て書いてあったよ。入ってみゅうか?

・・・・のこ のドアを開けて入る・・・・
シゲル:あっ、ほんなこてお客さんのおんさらん。やっぱい沈んどんさんやろか?
のこママ:いらっしゃーい!
シゲル:ありゃ、ニコニコ笑うて、明るかね。ママは美しかね。ホレボレすっばい。タイプやね。
みずえ:なんば、シゲルさんはニタニタして目尻ば下げてから、いやあね。
のこ は数年前に駅前でおでん屋をやっていた坂元法子さんが「鍋島」の生酒の美味しさに惹かれて始めた佐賀酒専門店で、品揃え数十種類と豊富。お好みのお酒を一合、半合、三勺単位で提供してくれる。お酒通の人や酒女子にも人気のお店。店内はくの字型のカウンターとテーブル席が三つ。カウンター奥に冷蔵庫、壁には佐賀らしく酒器が飾られている。カウンターには佐賀の酒蔵風景のスケッチコースターが貼ってあり、酒場の雰囲気を盛り上げている。
お酒はお得な季節のお酒の三杯飲み比べセットもあり、まずはそれをいただくことに。
シゲル:まずは、ママおすすめの利き酒セットを。
のこママ:そうね、今日のおすすめは、東鶴、鍋島、天吹で、いかがかしら。トクトクトク、、、

シゲル:良い眺めですね。飲んでもいいですか?
のこママ:どうぞ、できたら左から順に飲んでみては、いかがかしら。
シゲル:なるほど。愛にも恋にも順番が。では一番左の大きいグラスから。
みずえ:あっ、それは和ぎ水といって、お水なの。
シゲル:えっ??水ね??佐賀市の水だったら多布施川大吟醸だよね。
みずえ:あー、シゲルさんお酒の本にそう書いてあったわね。ふふっ。
シゲル:面白かネーミングやろ。水は無料やろね?
のこママ:はい、お酒と同量以上の水は体にもいいですからお好きに飲んでください。
シゲル:みずえちゃんも、遠慮せんで酒ば注文せんね。言うとくばってん、今日は、わ、割り勘やけんね、わかっとんね。お酒は自由、平等、博愛て佐野常民さんも言うたやろ。
みずえ:エー、クスッ
。割り勘負けはせんけん、よかですよ。
みずえ:それでは、私は「能古見」と「宮の松」をください。

シゲル:へぇー、最近の酒女子はそういう飲み方ばしんさっとね。利き酒セットは3勺を3杯、2セット頼めば6種類のんで、二合飲めるつうことか。
みずえ:なんばぶつぶつ言いよんね?
シゲル:お酒と女性は二ゴウまでとか、だれか言いよったね。
みずえ:二ゴウさんとか許さんよー!!
シゲル:オー、コワッ!?お酒は二合までと…。
のこママ:おでんは何になさいますか。セットだと3つ選べますよ。
シゲル:そいぎ、大根と厚揚げとこんにゃくばくれんね。こんにゃくはこんやくうなんちゃってね。
みずえ:私は、卵は絶対食べたい! 他はお任せで。
シゲル:ズルッ(すする音)。あれっ?のこ のおでんはスープの美味しかね。
みずえ:そうよ、のこ のおでんはお出汁のきいたスープが美味しいのよ。柚子こしょうを入れるとまた一味違うわよ。


のこ の料理は、定番のおでんのほか、一品料理も美味しいものが揃っている。赤鶏のタタキ、サバの白ワイン煮、だし巻きのほか佐賀のソウルフードともいえる魚ロッケも旨い。



〔佐賀ん酒とママに酔う〕
シゲル:クイー。フー。東鶴は濃ゆくてうまかですね。好いとー。鍋島はすっきりスーと入る。良かねー。天吹はやさしい香りに包まれて、幸せー。佐賀ん酒も色々あるったいね。愛も恋も夢中になりそう。甘くてとろけるジュンちゃん、クールで知的なチエちゃん、やさしく包んでくれるみずえさんみたい。
みずえ:まあ、シゲルさんったら、お酒を女性に例えるなんて、いやねぇ。でも当たっているかも。
シゲル:もう一杯、珍しいお酒とかあったら。
のこママ:では、これなど、いかがかしら。トクトクトク、、、
シゲル:オヤッ?!「万里長」ですね?グビリ。うん、純朴で真っ直ぐな佐賀んもんのような、つまり私のような酒だね!
のこママ:伊万里の小さい家族でやっている蔵のお酒です。
シゲル:佐賀ん酒もいろいろあんね。みずえさん、今から美味しか佐賀ん酒ば探して二人で旅すっけん。仲良うしてね。
みずえ:なんだか少し酔ったんじゃあないですか。ぼちぼち切り上げますか?
シゲル:ごめん、最後にもう一杯だけ。みずえさんのおすすめば飲ませてくんさい。
みずえ:ママ、「万齢」の夏酒をお燗でください。45℃ぐらいで。
シゲル:エッ?!このお酒、生でしかも純米吟醸って書いてあっばってん、お燗してよかとね?
みずえ:吟醸でも生でもしっかりしたお酒は、上手にお燗してあげれば、美味しいそうよ。
シゲル:へー、そうなんだ。その前に冷でちょこっと飲ませて。クイー。おー、こりゃあうまか。
のこママ:はーい、お燗ですよ。どうぞ。器も変えましょうね。唐津焼ね。トクトクトク、、、

シゲル:チビリ、チビリ。おー、これは、なんとも、ふわーと体中に香りと旨さが広がって開いていく感じがなんとも、極楽だね。燗酒ってすごいね!これって、マルボーロ、もとい、マルコポーロ以来の新発見!
みずえ:でしょう。お燗することでお酒の世界が広がるのよ。
シゲル:美人ママが燗付けてくれたけんね。こういうのを燗番娘というんだな。
のこママ:いやねぇ、娘だなんて。私も少しいただいていいかしら。
シゲル:どぞどぞ。トクトク、、、
のこママ:あーら、ほんと。これは美味しいわね。
シゲル:温泉もぬる湯の人肌ぐらいの温度でリラックスできるけど、ぬる燗もまるでお母さんの胎内にるような心地よさだね。これぞぬる燗の悦楽!官能の世界!
みずえ:シゲルさん、酔っぱらったわね?
シゲル:おや、のこママもほんのり桜色になって色っぽいなあ。
ひとりしみじみと飲むよりも、お客さんと楽しく飲むのが好きというのこママ。もしかして、もう少しねばると一緒に横で飲んでくれるかな、と勝手に期待がふくらむ。
シゲル:あれ?ママが歌っている!?
♪ 何があってももういいの ~~♩
あなたと越えたい 天城越え ~~♫
みずえ:これってママのおはこよ。
シゲル:あなたと越えたいってもしかして私のことかなあ??
みずえ:酔っ払いおじさんの勝手な思い込みにも困ったものです。さあ。もう退散しましょう。お勘定をお願いし桝。
ドアの外まで私たちを見送ってくれたママは、「またいらしてくださいね、お待ちしています」と私の目を見てやさしく言ってくれた。きっと私だけに特別に言ってくれたのだと、今でもそう思っている幸せなシゲルだった。

【はしごメモ】
店名:のこ さがん酒処
住所:佐賀市白山1-2-6
でんわ:0952-23-2888
営業:18:00~24:00(OS23:30)
お酒:晩酌セット850円(おでん3ケとお酒かビール一本)
利き酒セット1200円(おでん3ケとお酒3杯)
料理:おでん各種、一品料理
(執筆:シゲル)

シゲル:今日はどこへ行こうか?
みずえ: のこ に行きましょう。
シゲル:よかね。美人ママのところね。
みずえ:佐賀駅からだと南へ(佐賀では方向を東西南北で言う)どんどんどん(佐賀弁の擬音の三拍子)と県庁に向いて土橋(どばし)まで行って、西へ曲がったらすぐ。
シゲル:雨も降ってきたし。バスで行こうか。
みずえ:そいぎバスに乗って行こうか。ありゃ、市営バスに佐賀ん酒の描いてあっよ。よかね?
こいに乗って行きましょう。


二人は のこ 目指してバスセンターから佐賀酒ラッピングバスに乗り白山へ。
ここは江戸時代、長崎と小倉を結ぶ長崎街道が通っていた所で佐賀城下町の札の辻が立てられていた交通の要所で、今でも多くの飲食店が立ち並び夜も賑わう。のこ に行く前に長崎街道をぶーらぶら歴史散策。丸ボーロ屋さんの甘い香りが鼻をくすぐる。カレー屋さんのいい匂いも。近所にある高寺や竜造寺八幡宮でお参り。いったい何をお願いしたのやら。
もちろんアンバサダー丸の航行安全をネ。
佐賀城下町の北を東西に流れる十間堀川は、その昔、川幅が十間あってお城の外堀の役目もしていた。川には船が行き交い、ここから有明海に出て日本中や外国ともつながっていた。白山は長崎街道も通り船運もよく佐賀随一の繁華街として繁栄していたそうだ。昭和の流行歌「佐賀はよいとこ」にも、佐賀県内の一番の名所として
♪~ 楠の青葉もそよそよと、えー暮れりゃ白山人通り、~♩
~ 灯る鈴蘭花の町、ホントニ、ヨカナイ、ヨカトコロ ~♫
と歌われたほど賑やかだったとか。今でも鈴蘭通り、鈴蘭橋がある。のこ は十間堀川と長崎街道のそば、八幡宮のすぐ前にぽつんと灯りをともしている。

〔いよいよ、のこ に〕
みずえ:なるほど、街歩きもしたし、歴史の勉強でちょっと疲れたけん、ぼちぼち のこ に行きましょ。
シゲル:そんないのこのこついて行くけん、、、、

佐賀駅から唐人町を通り十間堀川を渡って白山に行く橋は通称「土橋(どばし)」というが、現在では土橋という橋はなく、中央橋、広栄橋、そして御幸橋となんと3つの橋に分かれる。のこ は御幸橋を渡ったすぐのところにある。以前は「大ばかもり食堂」という人気の食堂があり、「働かざる者食うべからず」と書いてあったという。のこ にも「働かざる者飲むべからず」などと貼り紙があるのでは。
まさか、、、

みずえ:ほら、もうそこにのこの提灯の見えよっよ。雨のザーザーザー降ってきたやんね。早う、入ろう。お酒とあったかいおでんの待っとおよ。
シゲル:この〇い提灯の下に△と□を合わせた木の説明板はおでんのこんにゃくや豆腐に似とおね。説明版に、「雨の日は客が少ないから沈む」て書いてあったよ。入ってみゅうか?

・・・・のこ のドアを開けて入る・・・・
シゲル:あっ、ほんなこてお客さんのおんさらん。やっぱい沈んどんさんやろか?
のこママ:いらっしゃーい!
シゲル:ありゃ、ニコニコ笑うて、明るかね。ママは美しかね。ホレボレすっばい。タイプやね。
みずえ:なんば、シゲルさんはニタニタして目尻ば下げてから、いやあね。

のこ は数年前に駅前でおでん屋をやっていた坂元法子さんが「鍋島」の生酒の美味しさに惹かれて始めた佐賀酒専門店で、品揃え数十種類と豊富。お好みのお酒を一合、半合、三勺単位で提供してくれる。お酒通の人や酒女子にも人気のお店。店内はくの字型のカウンターとテーブル席が三つ。カウンター奥に冷蔵庫、壁には佐賀らしく酒器が飾られている。カウンターには佐賀の酒蔵風景のスケッチコースターが貼ってあり、酒場の雰囲気を盛り上げている。
お酒はお得な季節のお酒の三杯飲み比べセットもあり、まずはそれをいただくことに。
シゲル:まずは、ママおすすめの利き酒セットを。
のこママ:そうね、今日のおすすめは、東鶴、鍋島、天吹で、いかがかしら。トクトクトク、、、


シゲル:良い眺めですね。飲んでもいいですか?
のこママ:どうぞ、できたら左から順に飲んでみては、いかがかしら。
シゲル:なるほど。愛にも恋にも順番が。では一番左の大きいグラスから。
みずえ:あっ、それは和ぎ水といって、お水なの。
シゲル:えっ??水ね??佐賀市の水だったら多布施川大吟醸だよね。
みずえ:あー、シゲルさんお酒の本にそう書いてあったわね。ふふっ。
シゲル:面白かネーミングやろ。水は無料やろね?
のこママ:はい、お酒と同量以上の水は体にもいいですからお好きに飲んでください。
シゲル:みずえちゃんも、遠慮せんで酒ば注文せんね。言うとくばってん、今日は、わ、割り勘やけんね、わかっとんね。お酒は自由、平等、博愛て佐野常民さんも言うたやろ。
みずえ:エー、クスッ

みずえ:それでは、私は「能古見」と「宮の松」をください。

シゲル:へぇー、最近の酒女子はそういう飲み方ばしんさっとね。利き酒セットは3勺を3杯、2セット頼めば6種類のんで、二合飲めるつうことか。
みずえ:なんばぶつぶつ言いよんね?
シゲル:お酒と女性は二ゴウまでとか、だれか言いよったね。

みずえ:二ゴウさんとか許さんよー!!

シゲル:オー、コワッ!?お酒は二合までと…。

のこママ:おでんは何になさいますか。セットだと3つ選べますよ。
シゲル:そいぎ、大根と厚揚げとこんにゃくばくれんね。こんにゃくはこんやくうなんちゃってね。

みずえ:私は、卵は絶対食べたい! 他はお任せで。
シゲル:ズルッ(すする音)。あれっ?のこ のおでんはスープの美味しかね。
みずえ:そうよ、のこ のおでんはお出汁のきいたスープが美味しいのよ。柚子こしょうを入れるとまた一味違うわよ。


のこ の料理は、定番のおでんのほか、一品料理も美味しいものが揃っている。赤鶏のタタキ、サバの白ワイン煮、だし巻きのほか佐賀のソウルフードともいえる魚ロッケも旨い。




〔佐賀ん酒とママに酔う〕
シゲル:クイー。フー。東鶴は濃ゆくてうまかですね。好いとー。鍋島はすっきりスーと入る。良かねー。天吹はやさしい香りに包まれて、幸せー。佐賀ん酒も色々あるったいね。愛も恋も夢中になりそう。甘くてとろけるジュンちゃん、クールで知的なチエちゃん、やさしく包んでくれるみずえさんみたい。
みずえ:まあ、シゲルさんったら、お酒を女性に例えるなんて、いやねぇ。でも当たっているかも。

シゲル:もう一杯、珍しいお酒とかあったら。
のこママ:では、これなど、いかがかしら。トクトクトク、、、

シゲル:オヤッ?!「万里長」ですね?グビリ。うん、純朴で真っ直ぐな佐賀んもんのような、つまり私のような酒だね!
のこママ:伊万里の小さい家族でやっている蔵のお酒です。
シゲル:佐賀ん酒もいろいろあんね。みずえさん、今から美味しか佐賀ん酒ば探して二人で旅すっけん。仲良うしてね。

みずえ:なんだか少し酔ったんじゃあないですか。ぼちぼち切り上げますか?
シゲル:ごめん、最後にもう一杯だけ。みずえさんのおすすめば飲ませてくんさい。
みずえ:ママ、「万齢」の夏酒をお燗でください。45℃ぐらいで。
シゲル:エッ?!このお酒、生でしかも純米吟醸って書いてあっばってん、お燗してよかとね?

みずえ:吟醸でも生でもしっかりしたお酒は、上手にお燗してあげれば、美味しいそうよ。
シゲル:へー、そうなんだ。その前に冷でちょこっと飲ませて。クイー。おー、こりゃあうまか。
のこママ:はーい、お燗ですよ。どうぞ。器も変えましょうね。唐津焼ね。トクトクトク、、、


シゲル:チビリ、チビリ。おー、これは、なんとも、ふわーと体中に香りと旨さが広がって開いていく感じがなんとも、極楽だね。燗酒ってすごいね!これって、マルボーロ、もとい、マルコポーロ以来の新発見!

みずえ:でしょう。お燗することでお酒の世界が広がるのよ。

シゲル:美人ママが燗付けてくれたけんね。こういうのを燗番娘というんだな。

のこママ:いやねぇ、娘だなんて。私も少しいただいていいかしら。
シゲル:どぞどぞ。トクトク、、、

のこママ:あーら、ほんと。これは美味しいわね。
シゲル:温泉もぬる湯の人肌ぐらいの温度でリラックスできるけど、ぬる燗もまるでお母さんの胎内にるような心地よさだね。これぞぬる燗の悦楽!官能の世界!
みずえ:シゲルさん、酔っぱらったわね?
シゲル:おや、のこママもほんのり桜色になって色っぽいなあ。
ひとりしみじみと飲むよりも、お客さんと楽しく飲むのが好きというのこママ。もしかして、もう少しねばると一緒に横で飲んでくれるかな、と勝手に期待がふくらむ。
シゲル:あれ?ママが歌っている!?
♪ 何があってももういいの ~~♩
あなたと越えたい 天城越え ~~♫
みずえ:これってママのおはこよ。

シゲル:あなたと越えたいってもしかして私のことかなあ??

みずえ:酔っ払いおじさんの勝手な思い込みにも困ったものです。さあ。もう退散しましょう。お勘定をお願いし桝。
ドアの外まで私たちを見送ってくれたママは、「またいらしてくださいね、お待ちしています」と私の目を見てやさしく言ってくれた。きっと私だけに特別に言ってくれたのだと、今でもそう思っている幸せなシゲルだった。

【はしごメモ】
店名:のこ さがん酒処
住所:佐賀市白山1-2-6
でんわ:0952-23-2888
営業:18:00~24:00(OS23:30)
お酒:晩酌セット850円(おでん3ケとお酒かビール一本)
利き酒セット1200円(おでん3ケとお酒3杯)
料理:おでん各種、一品料理
(執筆:シゲル)
2016年07月08日
シゲル&みずえ です。

皆さん、はじめまして!
このたび、佐賀県酒造組合より佐賀酒アンバサダーに委嘱された「シゲル&みずえ」です。
委嘱されただけに異色の組み合わせなんて言わないでくださいね。
佐賀を佐賀ん酒を愛することにかけては誰にも負けていないと自負している二人ですので、酔ろ酒く【よろしゅく?】お願いし桝ね。
簡単に自己紹介すると、シゲルはお酒は強くありませんが、お酒と美味しいものが好きで「佐賀酒ものがたり」という本を書いてしまったというお酒大好きなおじさんです。
温泉達人の異名もありダジャレや言葉遊びが好きな教養も栄養もあふれる、ちょっとエッチでクスっと笑えるおかしな人です。
みずえは、雑誌編集者・ライターにして、“魔法の液体”である日本酒に魅せられ、酒ソムリエの資格を取得したという、佐賀ん女子「酒豪ズ」の長女です。
佐賀の賢女(さかしめ)ならぬ酒女【さかめ?】。
これぞと思ったら猪突猛進、槍が降っても酒が降っても我行かん、無名から一気に甲子園優勝を果たした佐賀北高野球部のような最後まで諦めない根性ある佐賀乙女です。
こんなシゲルとみずえが織りなす、佐賀酒探訪記。
毎回、佐賀県内外各地の美味しい酒と肴を訪ね、周辺の温泉や町の見どころなど佐賀の魅力を楽しくレポートします。
さてさて、どんな紀行になりますか。
アンバサダーだけに、ダー(そしたら、さあという意味の佐賀弁)見てみゅうか。
